高齢化社会にともない、変形性膝関節症の方も増加傾向にあります。
変形性膝関節症とは、膝の軟骨が加齢とともに摩耗し、変形をきたす症状です。
変形を起こした膝は関節の適合性が悪くなるので、痛みを発症しやすくなる可能性を大きくはらんでいます。
しかし、変形性膝関節症でも、痛みが出ない方もいます。
この違いは何なのでしょうか?
それは、膝だけでなく体全体のバランスの問題に関係しています。
・膝の変形の見分け方
・変形があるのに痛みが出ない不思議
・変形性膝関節症への施術
・まとめ
◎膝の変形の見分け方
変形性膝関節症は高齢者に多く、関節軟骨の減少することにより発症します。
多くの方は痛みが出てから整形外科に行き、レントゲンで変形があることを知りますが、実は痛みが出ない「隠れ変形性膝関節症」の方はたくさんいます。
皆さんも自分の両膝を見比べてみてください。もしかしたら、膝の太さが左右で違うかもしれません。
左右差がある方は膝に変形がある可能性があります。
◎変形があるのに痛みが出ない不思議
変形があっても痛みが出ないのはなぜなのでしょう?
それは膝周辺の組織である、筋・筋膜や靭帯、関節包の緊張が少ないからです。
また、関節内の循環も良好だからです。
そもそも人の体はバランス良く効率よく動いていれば、多少構造的に問題がある場所があっても、痛みなく日常生活を送れるものです。
これは体全体が構造的に問題がある部分にかかる負担を全身で逃がすことが出来るからです。
しかし、何かのきっかけで、生活のリズムが変わり、心身ともにストレスがかかると、体の動きは硬くなり構造的に問題のある部分の負担を逃がせなくなります。
このようにして、膝周辺の筋肉が硬くなり、靭帯や関節包にも緊張がでて、痛みを発症してしまいます。
もちろん、関節内のリンパ還流も悪くなるので、余計に痛みは悪化し、さらには関節内が炎症を起こし、水がたまるようにもなります。
ここで、初めて整形外科に行き、「変形性膝関節症」の診断を受けるわけです。
◎変形性膝関節症への施術
変形性膝関節症には次の対処が必要です。
◆体全体が効率よく動けるようにして、膝への負担が減らせるようにする。
膝の痛みは、体のアンバランスの結果出ます。まずは体全体のバランスを整えて、膝への負担が逃がせるようにします。
どうしても膝の痛みに目が行き、患部に手を加える事を求めがちですが、それではなかなか膝は良くなりません。
特に、膝の悪い方は腰椎や骨盤に問題がある方が多いです。腰椎からは膝の筋肉を支配する神経が出ており、さらに膝の筋肉のほとんどが、骨盤に付着します。
このことからも、体のバランスを整える事は膝に有意義なはずです。
◆膝周辺の筋・筋膜、靭帯への施術
体全体のバランスが取れたら、膝周辺の筋・筋膜の施術をします。
最近話題のトリガーポイントの創始者であるトラベルとシモンズは、変形で膝が動かないほど硬くなっている被験者に対して、筋膜を緩めることによりその動きが十分回復したという報告しています。
(トリガーポイントについてはこちら!→トリガーポイントについて)
つまり、関節の変形で起きていると思われる可動域の制限が、実は筋膜の影響によるところが大きいという事なのです。
また、変形のある膝は靭帯の緊張バランスが崩れているので、それを緩めていきます。
◆足首、股関節の調整

膝は足首と股関節の間にあり、一番ねじれの影響を受けやすい部分です。
分かりやすく言えば、雑巾を絞った時の真ん中が膝の部分で、両脇が足首と股関節です。
つまり、足首と股関節の問題が膝に影響するわけです。
特に、膝の痛む人は昔、足首を強く捻挫した方が多いです。
◆リンパ循環に調整
特に、膝のリンパ循環は膝関節に炎症があり、腫れている方に有効です。
これを行うだけでも、痛みに大きな変化が出ます。
当院ではリンパ管に直接アプローチする「リンパドレナージセラピー」で効果を上げています。
(リンパドレナージセラピーについてはこちら!→オステオパシーの治療手技について)
◎まとめ
変形性膝関節症で痛みが出るに至るには、それまでにいろいろな体の負のプロセスが積み重なっっています。
変形の度合いにもよりますが、変形性膝関節症による痛みは、十分改善する余地のあるものです。しかし、1回、2回で結果を出すものではなく、ある程度根気よく通院することが大事です。
当院ではお客様の状況によって、頻繁に通っていただけるように、通常50分のコースを短く分けた、非公開の特別コースも設けています。
もし、当院の施術に興味があるようでしたら、お気軽にご相談くださいませ。