五十肩の病態と治療②・・・船橋市のオステオパシー整体

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前回は五十肩の病態と治療計画についてお話をしました。

 

五十肩の原因は不明ですが、加齢により発症しやすいのは確かです。

 

今回はなぜ加齢により五十肩になりやすいのか?そのメカニズムについてお話をします。

 

<目次>
・肩関節の構造
・肩を支える筋肉
・五十肩と鑑別が必要な症状

 

肩関節の構造

肩関節の構造

肩関節は肩甲骨と上腕骨より形成される関節です。

その周りに靭帯、関節をおおう関節包があり、関節の中は関節液で満たされています。さらに関節包の外には関節の動きをスムーズにする滑液包という水袋があります。

肩関節は人体最大の可動域を誇りますが、その分、関節は緩く、不安定な構造となっています。
しかし、人の腕の重さは全体重の6%と言われ、体重が50㎏の人なら3㎏の重さを常に支えなければならないのです。

 

弱い構造の肩関節にこの仕事をさせるのは酷な話です。

 

そこで、多くの筋が肩の周りを覆い、関節を固定し、保護する役割をしています。

 

ただ、肩の周辺の筋がしっかりしている時期は良いですが、加齢ともに退化してくると、関節構造自体に負担がかかってしまいます。

ちなみに肩関節は筋の支えがないと上腕骨頭を関節から3㎝も引き離せるそうです。

筋が弱ければ、関節包や靭帯が無理やり引き伸ばされることは想像できます。

五十肩のメカニズム

 

さらに関節の間に隙間が空き過ぎると肩のアライメントが崩れるため、滑液包に負担がきます。

滑液包は上腕骨と肩甲骨の狭い隙間の中にあります。そのため、肩甲骨と上腕骨の間でこすれるように疲弊していくのです。

滑液包炎症のメカニズム

 

しかし、このような変化が起きても当の本人は気付いてないことが多いです。

 

なぜなら、微細でも組織に損傷がない限り、痛みが発症しないからです。

 

例えるなら切れかけのゴムのような状態です。弱くはなっていても機能しているので、自覚がないのです。

そして…我慢しきれなくなった組織がついに損傷し痛みを生じる、これが五十肩発症のメカニズムです。

 

 

肩を支える筋肉

肩周辺の筋肉には大きな力を発揮する筋と、力は小さくても肩を安定させるために働く筋があります。

この後者の方は身体の奥底にあるため、「インナーマッスル」ともいわれます。

先ほど、肩には関節を安定させるための筋肉があるというお話をしましたが、この肩のインナーマッスルが回旋筋腱板ともいわれる「棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋」になります

これらは全て、肩を覆うように働き、骨頭を肩甲骨に引き寄せ肩を安定させています。

肩甲骨の関節窩をおおうように回旋筋腱板がついています。

 

五十肩の症状の中には、疲弊状態であったインナーマッスルが損傷することにより、症状を発生する場合もあります。

微細な損傷や炎症なら、オステオパシーの手技で著効を示すことも多いです。しかし、断裂している場合だと、状態によっては手術が必要な場合があります。

五十肩と鑑別が必要な症状

五十肩と似ていますが、鑑別が必要な症状があります。

石灰沈着

肩の筋肉に石灰が溜まる症状です。石灰化の部分が滑液包を突き破ると突然の痛みに襲われます。

石灰沈着は棘上筋に多いです、棘上筋は上腕骨と肩甲骨の狭いトンネルを通るで、肩を外に挙げるときなど、トンネル内で筋肉がこすれるように摩耗しやすいです。

石灰化のメカニズム

 

この摩擦刺激が石灰化の原因となります。

 

昔は治療法がないと言われてましたが、最近は針を刺して石灰を吸引する方法がとられています。

 

上腕二頭筋長頭腱炎

力コブである上腕二頭筋の腱の一部は、肩の前面を通ります。この腱が炎症を起こし痛みを発生することがあります。

 

肩の前面が痛く、手のひらを上ににして前方より腕を上げると痛いが、手のひらを下に向けて同じ動作をすると痛くない、肘を曲げるように力を入れると痛い場合には要注意です。

上腕二頭筋長頭腱炎の治療の例

以上、五十肩のメカニズムでした。

 

加齢による筋肉の弱化がその一因だと思われますので、普段からの運動が再発予防にも有効です。

運動方法についてはシリーズ中にお話しをしたいと思います。

 

次回は、前回お話した急性期と慢性期の治療について詳しく説明していきます。