五十肩の病態と治療について④・・・船橋市のオステオパシー整体

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今回は慢性期・回復期の五十肩の治療計画について
お話します。

患者様でもこの時期に五十肩の治療に来院される方が多いです。

前回、急性期の方が五十肩は回復が早いことを説明は致しましたが、慢性期や回復期でも十分に改善する可能性はあります。

慢性期でも五十肩でお悩みの方は、是非ご相談くださいませ。

<目次>
・慢性期の症状について
・慢性期の治療計画
・リンパ管へのアプローチ
・肩周辺の筋肉へのアプローチ
・肩関節へのアプローチ
・機能的肩関節へのアプローチ
・内臓へのアプローチ
・肘の関節の問題
・運動療法の適応

慢性期の症状について

慢性期とは受傷後2か月~4か月くらいの期間です。

急性期の炎症がおさまり、自発痛や鋭い痛み、夜間痛がなくなってきたころです。

慢性期の症状は以下の通りです。

・鈍い痛み
・運動時痛
・肩関節の可動制限

五十肩で特徴的なのは肩の運動時痛ですが、急性期は炎症のため痛みが強くて上がらないので、肩自体の運動制限は殆どありません。

しかし、慢性期に入ると、関節液が粘質化し関節のすべりが悪くなったり、筋が線維化したり、交感神経の影響で固くなったりと肩関節自体の可動域が狭くなってしまいます。

また、痛みも範囲が広がってきます。

原因としては、受傷部位をかばうため、他の筋肉にも負担がかかったこと、交感神経の影響、また、受傷した筋の放散痛(痛みが遠くへ広がり、受傷部位と別の所が痛くなる現象)などが考えられます。

 

慢性期の治療計画

慢性期では炎症もおさまってきているので、患部への治療が可能になります。

ただ、患者様の状態や体質によって刺激への耐性も違いますので、慎重に行わなければなりません。これが五十肩治療の難しいところなのです。

 

リンパ管へのアプローチ

まず慢性期でも循環を良くするためにリンパ循環を良くするのは急性期と同じです。

関節内の循環を良くし、可動域の向上を目指します。

ただ、急性期と違うのは患部のリンパ管に直接アプローチし、筋膜も同時に緩めていくことです。五十肩ではリンパ循環の走行が乱れていることがあります。これを整えるだけでも、肩の可動域や痛みに変化があります。

「えっ?リンパ管って触れるの?」と思われるかもしれませんが、オステオパシーではそれが可能なのです。

 

肩周辺の筋肉へのアプローチ

肩周辺の硬くなった筋肉へアプローチをします。炎症を起こした筋には必要なアプローチです。特に回旋筋腱板へのアプローチは重要です。

肩甲骨の関節窩をおおうように回旋筋腱板がついています。

回旋筋腱板は不安定な肩関節の構造を支えている筋です。

これらに問題があると、肩はより不安定となり、うまく動かせなかったり、痛みを発症したりします。

 

肩関節へのアプローチ

肩関節が関節液の粘質化のため硬くなっている場合があります。関節液がネバネバしただけで、そんなに肩が動かなくものなのかと不思議に思われる方もいると思います。

実は関節にはミリ単位の微細なすべりの動きがあり、この動きがあってはじめて関節のスムーズな動きが可能となります。これは関節の遊びと呼ばれるものですが、微細な動きなため、関節液の粘質化のようなちょっとしたことでも制限を受けやすいのです。

肩関節のすべり運動の例

このミリ単位の動きを検査し、可動域を広げくと、肩の可動制限を改善するのに有効な場合があります。

 

機能的肩関節へのアプローチ

ここが治りづらい五十肩に対して重要な要素となってきます。

機能的肩関節とは、肩が円滑に動くために必要な関節構造の事です。

肩関節は肩甲骨、肋骨、鎖骨、胸骨、胸椎と連動して動いています。

肩は肩関節だけで動いているのではなく、鎖骨、肋骨、肩甲骨、胸椎、胸骨で構成される関節と連動して動いています。

これらのどれか一つでも動きが制限されれば肩が動かなくなる可能性があります。

受傷したときは患部に目が行きがちですが、これらの構造の2次的影響も考慮しなければ、五十肩はなかなか改善しません。

慢性時や回復期でも肩に可動制限がある方に対して、肩甲骨や鎖骨に手技を施すと、嘘のように肩が動くようになることがあります。

鎖骨への治療の例

 

内臓へのアプローチ

内臓の問題が肩に影響する場合もあります。

内臓は膜を通して肩とつながっています。特に肝臓や胆のう、胃、心臓は肩に大きな影響をもたらします

このような時は、内臓マニュピレーションが功を奏します。

肝臓のマニュピレーション

 

肘の関節の問題

意外と見落とされがちなのが、肘関節の問題です。

肘の関節の問題やの周囲の筋膜の障害は治りずらい五十肩の原因の一つとなっています。

肘は腕を曲げ伸ばしするだけでなく、手首を回旋させる役割もあります。この動きが阻害されると、肩の回旋にも大きく影響を及ぼします。

肘の治療の例(橈骨)

 

運動療法の適応

慢性期には、肩の循環や筋の柔軟性と筋力の向上を目的として運動療法も取り入れるとよいです。

ただ、痛みが出ない範囲で行いましょう。

壁に体の側面を向けて立ち、指を壁に這わせながら、少しづつ腕を挙げていきます。痛みのない範囲でゆっくりと行いましょう。はじめは1回から。できるようになったら10回まで増やします。
壁に体の正面を向けて立ち、指を壁に這わせながら、少しづつ腕を挙げていきます。痛みのない範囲でゆっくりと行いましょう。はじめは1回から。できるようになったら10回まで増やします。
水の入ったペットボトルを持ち、腕の力を抜いて、小さな円を描くように1~2分動かします。そして、逆回しでさらに1~2分行います。1日に2~4セット行います。

オステオパシーでは肩の筋力と可動域の向上を目的として、肩関節の抵抗運動を行なっています。

肩関節の抵抗運動の例

以上が慢性期の五十肩へのアプローチです。

慢性期には患部にアプローチできること、また患部以外の構造にも着目して、肩の連動性をつなげてあげることが必要です。

患者様の状態によっては強めに筋膜を緩めることが必要な方もいらっしゃいます。

 

また、運動療法も重要になってきます。

 

さらに、この時期は循環を良くするためにタオルや
蒸しタオルで良く温めてあげましょう。

 

次回は五十肩の実際の症例についてお話をします。