内臓性の腰痛について・・・船橋市のオステオパシー整体

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(内臓性の腰痛の症例はこちら→腰痛と内臓の問題について①

3月、4月や夏、年末年始はぎっくり腰の方が多いです。

 

この時期に共通して言えることはなんでしょう?

 

それは内臓に負担が来やすい季節だという事です

 

3、4月は送別会や歓迎会、年末年始は忘年会や新年会、そして、夏は水分不足や冷たいものを多く摂取することから、いずれの時期も内臓が疲弊しやすいです。

 

東洋医学ではよく、内臓の疲れから筋骨格系の症状につながる話はありますが、科学的に見て、内臓と腰痛の関係はどのようなものなのでしょうか。

<目次>
・内臓は感覚に鈍感です
・なぜ内臓が筋骨格の痛みに影響するのか?
・内臓の不調と腰痛の関係
・内臓性の腰痛は治りづらい
・内臓性の腰痛に対するオステオパシーの治療
・まとめ

 

 

内臓は痛みに鈍感です

内臓とは一般的には消化器、呼吸器、泌尿器、生殖器、内分泌器に属する器官を言うようです(循環器系と神経系は内臓に含まれません)。

 

内臓は人間の生命活動に重要な役割を果たしていますが、私たちはその異常になかなか気付けません。

 

なぜなら、内臓の痛み感覚は皮膚や筋骨格系のそれのように敏感で明確ではありません

 

例えば、消化管の痛覚受容器は器官から2cmほど離れていることからも分かるように、痛みに鈍感なのです。

 

また、脳自体も内臓の感覚に対して鋭敏ではないです。

筋骨格系には感覚の地図がありますが、内臓にはありません。

皮膚や筋骨格系の感覚は脳の「ホムンクルス」で表される「脳地図」によって所在がはっきりしてますが、内臓の感覚に対しては脳地図がないので、その痛みも「所在の分からない漠然とした痛み」になりやすいです。

 

このように「痛みに鈍感」な内臓は知らず知らずの内に疲弊してしまいます。

 

そして、症状や痛みを感じたときは内臓が本当に「我慢の限界」に達した時だということになります。

 

 

なぜ内臓が筋骨格の痛みに影響するのか?

元来、鈍感な内臓は疲弊していてもじっと我慢して活動しています。

 

この我慢強さが知らず知らずの内、「内臓性の腰痛」を作り上げてしまいます。

 

あなたは内臓の痛みや不快感の情報が何によって脳に運ばれるかご存知でしょうか?

 

それは自律神経です。

交感神経は脊髄の中枢より内臓を支配します。

特に交感神経は重要です。内臓の感覚は交感神経を通して、背骨中の脊髄にある交感神経の中枢に届きます。

 

そこから情報は脳へ向かっていくのですが、あまりに内臓からの「不快」な感覚が長く続くと、交感神経の情報を受け取る脊髄レベルで脊髄中枢全体の「異常興奮」が起こってしまいます。

 

そして、その脊髄レベルでの皮膚や筋骨格系の感覚神経や運動神経も興奮してしまい、そのレベルが支配する皮膚や筋骨格系の領域にも影響が出てしまうのです。

 

そうなると、体に痛みを感じるようになります。

 

ここで厄介なのは、内臓の「不快感覚」自体は脳にはっきりと登らないので、当の本人は内臓の不調に「無自覚」だという事です。

 

 

ただ、体の痛みを気にしながらも、それがどうして発生したのか分からないまま、首をかしげながら過ごすこととなります。

 

内臓の不調と腰痛の関係

内臓への交感神経は脊髄より出ています。脊髄の中でも交感神経の中枢があるのは胸椎1番~腰椎2番までです。

 

そして内臓と交感神経の関係は以下の通りとなります。

交感神経における脊椎と内臓の関係

 

例えば、夏の水分不足で腎臓に負担が来たとします。

 

腎臓は胸椎10番、11番の交感神経に支配されます。

 

腎臓に問題があると、胸椎10番、11番が影響を受け、それらが支配する体表感覚にも影響を与えます。

 

さらに、胸椎の11番は、腰の腰方形筋という筋肉とも関係し、腰にも痛みを発症させます。

腰方形筋の位置のイメージ

 

また、冷たい水をとりすぎて左の腸が冷えると、大腸の左側は胸椎12番~腰椎2番までが影響を受け、その背骨の周辺に痛みが出ます。

 

さらに胸椎12番~腰椎2番は大腰筋という腰の前側につく筋肉とも関係していますので、腰痛の原因となります。

 

このように、内臓の不調はたやすく私たちの腰をむしばんでいくのです。

腰筋群の走行のイメージ(黄色が大腰筋)

 

内臓性の腰痛は治りづらい

内臓の不調から出る腰痛の厄介な点として、「骨の調整が効きづらい」という事です。

 

内臓を支配する交感神経は胸椎と一部の腰椎から出ていることは説明しましたが、内臓の不調は交感神経を介して椎骨を歪ませてしまいます。

 

このような椎骨はいくら矯正しても、すぐもとに戻る傾向にあります。

 

つまり、内臓の調整をしない限り、せっかく背骨の治療をしても痛みを繰り返すこととなります

 

内臓性の腰痛に対するオステオパシーの治療

内臓性の腰痛は、影響を与えている内臓を特定し治療することがカギとなります。

 

実際に腹部を触診することも大事ですが、背骨の上からももある程度特定が可能です。

 

背骨に手をかざすと、内臓の反射が出ている背骨は他の部分と比べると、温度に違いがあります。

 

慢性の内臓の不調がある場合は、反射の出る背骨周辺は「冷たく」、急性の症状の場合は「温かく」感じます

 

また、内臓の反射が出ている背骨は微妙に「ゆらゆら」揺れています。

 

この動きは、オステオパスの繊細な指の感覚でしか感じとることが出来ません。

 

 

そして、障害のある内臓を特定出来たら治療を施し、さらに反射の出ている背骨をチェックしてまだ異常が残っているのなら、背骨にもアプローチします。

 

内臓性のぎっくり腰の方は、これだけでもだいぶ楽になる方が多いです。

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

 

内臓性の腰痛は特に、虫垂炎や大腸など、消化器系の手術をした方にも多く、思わぬ症状を引き起こします。

 

内臓性といっても、内臓が機能的に弱っているという事で、病理的には問題のない方がほとんどです。

 

しかし、中には病理的に大きな問題を抱えている方もいらっしゃいます。

 

なかなか良くならない腰痛があり、腹部症状もある方は、念のため内科へ受診されることお勧めいたします。