腰痛の問題で気を付けなければならないのは内臓の問題です。
このうち、内臓が病理的に問題がないけれども機能的に問題があって、腰に影響が出る場合と、
内臓自体に病理的問題があって、腰に影響が出る場合があります。
特に注意しなければならないのは後者です。
今回はその症例を含めまして紹介いたします。
・慢性的な腰痛(女性 50代)
・弱い筋肉は内臓の影響の可能性が・・・
・交感神経と腰痛の関係
・まとめ
◎慢性的な腰痛(女性 50代)
慢性的な腰痛で悩んでいる女性で、腰がいつも不安定な感じがするようです。
さらに、日常、腹痛や吐き気を催すことが多いようです。
動作では立位で後屈動作で特に痛みが出ます。
検査を進めていく段階で、腰部の筋肉が「弱い」感じが見受けられました。
◎弱い筋肉は内臓の影響の可能性が・・・
このような方は交感神経が亢進しすぎ、腰が過敏になっている場合が多いです。さらに、交感神経を亢進させているのは内臓の問題であることが多いです。
仰向けで腹部を触診すると、交感神経の反応点に圧痛が強いのと、下腹部が特にグニャグニャで弱い感じが見受けられました。この感触はあまり見受けられないものです。
リンパ循環も悪そうです。
治療は交感神経の亢進を整えるため、自律神経に働きかける手技を中心に行いました。
◎交感神経と腰痛の関係
背骨周辺の筋肉と内臓は交感神経を通してつながっています。
(交感神経は胸椎全体と腰椎1番、2番から出ています。交感神経の役割は内臓のコントロールです。)
内臓の不調は交感神経を介して、背骨周辺の筋肉に影響を与えてしまいます。
このような場合は交感神経を抑制する治療を行うと非常に有効です。
この患者様も治療後は腹部の交感神経の反応点の圧痛もなく、腰痛も改善していました。
ただ、症状に内臓の問題が絡んでいる可能性があること、病院に行く機会があるのなら、念のため、一度検査をすることをお勧めいたしました。
それから、来院されたときには、病院で検査してもらった結果、子宮筋腫があることが分かったらしく、手術をすることとなったようです。
術後の話では、筋腫はかなり大きいものだったようです。
◎まとめ
内臓の影響は自律神経を介して、体に多大な影響を与えます。
中には重篤な内臓の疾患を抱えている場合もあります。
このケースでは医学としてのオステオパシーを学んだからこそ発見できたものだと思います。
次回も内臓疾患と腰痛の例についてお話をいたします。