前回はぎっくり腰にも、いろいろな状態があるというお話をしました(前回の記事はこちら!→急性腰痛①)。
簡単にまとめると以下の3つになります。
①筋・筋膜の炎症や靭帯の損傷など、明らかに組織損傷の可能性があるもの。
②炎症の所見がないもの。
③病院での診断を仰ぐ必要があるもの。
これらはそれぞれ対処方法が異なってきます。
その中でも②の状態の時は、オステオパシーの治療が功を奏する場合が多いです。
では炎症の所見がないぎっくり腰とはどもようなものなのでしょうか?
◎炎症所見のないぎっくり腰発生の例
例えば床にある30キロの荷物を持ち上げるとすると、
腰の筋肉(脊柱起立筋)が収縮して身体を後ろに反らすことにより、荷物を持ち上げることができます。
この時、身体は「30キロのものを持ち上げる」という情報が脳より伝わっているため、スムーズにそれを遂行できます。
しかし、もしこれが「30キロの荷物だと思って持ち上げたものが10キロだった」場合はどうなるでしょうか?
脳は30キロだと思っているので、身体はその情報を受け30キロの仕事をしようとします。
しかし、いざ持ち上げてみたら予想より明らかに軽い荷物だったため、身体は急激にそらされる形になります。
この時問題なのは、収縮した腰の筋肉ではなく、引き伸ばされた腹部側の筋肉なのです。
筋肉は急激に引き延ばされると収縮して身体を守ろうとする性質があります。そうしなければ筋肉が引きちぎれて損傷してしまう可能性があります。
この時も急激な身体の前面の伸長に対して、腹部側の筋肉がとっさに緊張して身体を守ろうとします。
しかし、とっさの反応のため、腹部側の筋が過緊張を強いられ、その緊張が残ってしまう事があります。つまり、脳に「体を守ろう」という過緊張の記憶が焼き付いてしまい、腹部側の筋の緊張がなかなか取れない状態が続いてしまうのです。
こうなると、腹部側の筋の過緊張のため、腰をそらす時に余計な負荷が腰に加わるため、腰に痛みを生じるようになります。
さらに脊柱起立筋や筋膜にも急激な収縮のために微細な損傷があった場合は、より痛みが強くなってしまいます。
これがぎっくり腰発生のメカニズムの一例です。
この場合は腹部側の筋の過緊張に原因があるため、腰が前かがみになり身体が伸ばせないという状態になります。
発生機序こそ、状況に応じて違いはありますが、このようなメカニズムでぎっくり腰が発生すことが多いです。
では、このような状態に対してどのような対処をすればよいのでしょうか?
次回はぎっくり腰の治療についてのお話です。