女性の方に多い症状の一つとして、親指側の手首が痛む疾患があります。
親指を使う動作や手首を動かすと痛みが出ますが、この症状を「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」といいます。
ドケルバン病は親指の筋肉である短母指伸筋腱と長母指外転筋が手首背側の腱鞘(腱を包む膜)のところで炎症を起こすことにより発症します。
わかりやすく言えば「腱鞘炎」のことです。
※親指を広げると手首(手関節)の親指側の部分に腱が張って2本の線が浮かび上がります。それが短母指伸筋腱と長母指外転筋腱です。
・ドケルバン病の原因と診断
・整形外科での治療は?
・オステオパシーでの治療は?
・まとめ
◎ドケルバン病の原因と診断
主に、妊娠出産期や更年期の女性に多発します。また、手の使いすぎやスポーツで指を良く使う人にも多いです(身近なところでは、パソコン作業でキーボードを良く扱う人などは要注意です)。
使い過ぎにより、腱や腱鞘が肥厚し、炎症をおこし痛みを発症します。
ドケルバン病の検査としてフィンケルスタイン・テストがあります。
親指を四指で握りこんで小指側に手首を曲げると、短母指伸筋と長母指外転筋が引き伸ばされ、痛みが発症します。
また、腱鞘がある手首の親指側に圧痛が見られます。
◎整形外科での治療は?
整形外科では、安静のため固定をするか、薬の処方やストロイド注射をします。
重度の場合は腱鞘を開く手術となります。
◎オステオパシーでの治療は?
皆様もお分かりかもしれませんが、薬やストロイドは根本的解決になりません。
一時的に痛みが減っても、腱に負担が来る限りはまた炎症を起こします。
もちろん患部を極力使用せず、刺激しない心がけが大事になりますが、その上で、患部に負担をかけないようにする治療が必要となります。
ドケルバン病は親指の筋にばかり注目が行きがちですが、ドケルバン病を抱えている方の中には肩こりがあった方が多いです。
このことは、肩周辺の解剖学的構造に以前よりアンバランスがあり、それが親指までの構造的アンバランスを生む原因となったと考えられます。
この状態で手を使っていれば、骨と筋で摩擦も起きやすくなり、より腱鞘炎になりやすい状態となってしまうのです。
ドケルバン病では上肢に関係する、胸郭から上腕骨、前腕の骨、手の骨、指の骨まで矯正していきます。
特に肘周辺の関節や手の骨はドケルバン病に大きく関わるところです。
上肢のアライメントが良くなると、母指の筋腱の引っ掛かりが減少するので痛みが減ります。
また、ドケルバン病が起きている腱鞘部分は炎症のため腫れています。
腫れが長く続くとリンパがうっ滞して毒素化し、筋や腱が脆弱化して弱くなります。
そこでリンパ循環を良くするためにリンパ管へアプローチすると、腫れが減り痛みにも変化が出てきて、患部の治癒力を上げてくれます。
◎まとめ
ドケルバン病は使い過ぎが原因です。よって、「極力使わない」ことが一番の治療です。
なぜなら、また酷使すれば治療をしても戻りやすいからです。
しかし、仕事の関係上、安静がままならない場合もあります。
そのような方は、治療後痛みが発症する前に来院することをお勧めいたします。
そうすれば、治療間隔が1週間、2週間と空いていき、症状も軽快していきます。
また、治療が進んだらケアの方法も指導いたします。
もし、ドケルバン病の痛みでお困りなら、どうぞお気軽にご相談下さいませ。