肩こりにもいろいろな原因があります。
その中でも注意しなければならないのが、胸郭出口症候群に起因する肩こりです。
胸郭出口症候群とは、上肢・肩の運動や感覚に関わる神経や血管が障害されることにより起こる症状です。
胸郭出口症候群がただの肩こりと理解され、周りから軽症扱いを受けることも多いですが、肩こりの症状だけでなく、手にしびれや、運動障害を起こす人もいて、非常につらい症状なのです。
ただ、この胸郭出口症候群と思われた症状が実は、思いもよらぬ原因で引き起こされていることもあります。
今回は胸郭出口症候群についてお話をします。
・胸郭出口症候群とは
・胸郭出口症候群の原因は普段の姿勢から
・胸郭出口症候群の意外な原因とは?
・まとめ
◎胸郭出口症候群とは
胸郭出口症候群とは先ほども説明した通り、上肢・肩の運動や感覚に関わる神経や血管が障害されることによりこる症状です。
症状としては
・首、肩、上肢の痛み、しびれ
・上肢の運動能力の低下(握力の低下など)
・血行不良による皮膚の変色(皮膚が白くなる、青紫色になる)
・上肢の感覚異常
などです。
そもそも首からは肩や上肢へ多くの主要な神経や血管が密集しています。それらは胸郭出口(鎖骨、第1肋骨、肩甲骨の間)を通り、肩や上肢へとのびていきますが、この胸郭出口周辺で神経や血管が圧迫されやすい部位が3つ程存在します。
・斜角筋呼ばれる首のと筋肉と第1肋骨で構成される部分
・鎖骨と肋骨の間隙
・小胸筋と呼ばれる胸の筋肉と肩甲骨で構成される部分。
これらは狭いトンネル状になっているので、狭窄しやすく、十分に神経や血管に影響を与えうる部分です。
また、先天的に肋骨の名残りが頚椎に残っている場合(「頚肋」と呼ばれています)は、より神経や血管が圧迫されやすい状態となってしまいます。
◎胸郭出口症候群の原因は普段の姿勢から
胸郭出口症候群の原因としては日常の姿勢の悪さが特に影響します。
デスクワークのような事務作業ではてき面です。
◇斜角筋の中でも前斜角筋は首を前に引っ張る作用があります。
だから、デスクワークで首を前へ突き出してを仕事をしていると前斜角筋が緊張しやすくなります。
この筋肉が緊張すると、後方に肩や腕に行く主要な神経や血管が通るので、それらが圧迫されてしまいます。
◇肋骨や鎖骨には首の筋肉や胸の筋肉が付着しています。
首を前に出したり、胸をすぼめるような姿勢をとっているこれらの筋肉が緊張し、肋骨や鎖骨のアライメントを歪める結果となります。
◇胸には小胸筋という小さな筋肉があり、肩甲骨を肋骨に固定する役割があります。
デスクワークで背中を丸めて作業をすると、小胸筋が緊張し肩甲骨ががっちりと肋骨に張り付く形となります。
この状態では、小胸筋と肩甲骨の間を通る神経や血管は圧迫されやすくなり、障害を受けることとなります。
胸郭出口症候群の方は身体に強い癖を持っているので、その体に染みついた記憶を忘れさせる作業をしていかなければなりません。
オステオパシー的には胸郭、鎖骨や頚椎周辺の構造に着目することはもちろんの事、首、肩、胸部の筋膜にも注目していきます。
さらに腰や骨盤にも注目していきます。
あなたも姿勢を悪くして座れば、腰も丸まっていることに気付くと思います・・・。
オステオパシーではこれらの構造に対して、安全に効果的に手を施していきます。
つまり、胸郭出口症候群の治療は全身を見ていく必要があるのです。
◎胸郭出口症候群の意外な原因とは?
今までは一般的な胸郭出口症候群についてのお話をしましたが、実は意外な事が理由で胸郭出口症候群の症状が出ることがあります。
それは内臓の問題です。
以外だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、特に、肝臓や胃、脾臓は横隔膜に接しています。これらの内臓の機能障害や病理的問題が横隔膜を通じて胸郭を捻じれさせ、胸郭出口症候群と同じような症状を起こさせることがあります。
特に肝臓は大胸筋に、胃の調子は小胸筋に関わることがあります。
オステオパシーでは、これらの要素も診断し、治療していきます。
ただ、暴飲暴食で内臓の不調が出ている方は治療しても戻ってしますので、ご本人の食事や嗜好物に対する節制が重要になります。
◎まとめ
いかがだったでしょうか?
胸郭出口症候群には普段の姿勢や食生活などが起因で発生する症状です。
治るのが難しいのは、それらの負の連鎖から抜け出す意識づけが難しいのも一つの要因です。
もし、胸郭出口症候群でお悩みなら、普段の姿勢も含めて、ライフスタイルを見直す必要があるのだと思います。
オステオパシーによる体づくりもその大きな助けになるはずです。