骨盤周辺のおしりの痛みに対して、ストッレッチすると楽なのに、また痛みがすぐ戻ってしまう方はいらっしゃらないでしょうか?
ストレッチを頑張っているのにもかかわらず、なかなか良くならないので、ストレッチをすることをあきらめてしまう方もいるかもしれません。
しかし、ストッレッチをすること自体は骨盤周辺の痛みをとるために、あながち的外れな方法ではないのです。
ただ、あなたの努力を無駄にしないためには、ストッレッチに「+α」でオステオパシーの治療が必要となるはずです。
・ストッレッチの効能
・痛みの原因は「反対側」にあります
・伸ばすのではなく、縮めることが大事です
・まとめ
◎ストッレッチの効能

ストレッチとは筋肉を伸ばす方へ持っていき、縮こまった筋肉を緩めてあげる方法です。
基本的に「伸ばして気持ちいいい」「伸ばした後、体が楽」なストレッチはあなたの体にとって効果的だと考えていいと思います。
ストッレッチを行うことにより、筋肉は「こんなに伸びても大丈夫なんだ」という事を認識し、少しづつ伸びるようになります。
ただ注意しなければならないのは、急に筋肉を伸ばそうとすると体は防御反応を起こし硬くなってしまいます。
これを「筋性防御」といいますが、筋肉が反応を起こさないように「そろりそろり」と伸ばしてあげるのがストッレッチのコツのなります。

臀部を伸ばそうとするには、膝を抱えて胸に近づけながら、膝を外もしくは内側にもっていくとよいです。
膝の向きはお尻が気持ちよく伸びる方向を選びましょう。
ただ、これだけではその場は良くても、また臀部の緊張が戻ってきます。
なぜなら痛みの原因が「おしり」にないからなのです。
◎痛みの原因は「反対側」にあります
伸ばすと気持ちいい筋肉がある場合、その反対側に痛みの原因が隠れていることがあります。
例えば臀部の代表的な筋肉の一つとして、梨状筋という骨盤の真ん中の骨:仙骨から大腿骨まで付く筋肉があります。
梨状筋は長距離ドライバーがよく痛くなる筋肉としても有名です。

この梨状筋の痛みの原因としてあげられるのが、「恥骨筋」という股関節の前方につく筋肉です。
恥骨筋は股関節を曲げる作用があります。対して梨状筋は股関節を伸ばす作用があります。
恥骨筋が短縮すると、股関節が前方へ常に引っ張られるため、股関節を後ろ伸ばすには通常より梨状筋をはじめとする臀部に大きな力が必要となります。
つまり恥骨筋の短縮のため、梨状筋に大きな負荷が加わり痛みを発生するのです。
◎伸ばすのではなく、縮めることが大事です

このような恥骨筋を緩めるには伸ばしてもダメです。
恥骨筋の緊張は何らかの原因で脳が収縮することを「記憶」してしまっているために発生します。
つまり、強力に「筋性防御」を起こしている筋なのです。
このような筋肉を伸ばそうとするとすぐさま防御反応を起こし、より硬くなってしまいます。
では、どうすればよいのでしょうか?
それには恥骨筋が短縮する方向に体をもっていって待ってあげればよいのです。
恥骨筋はやや膝を外へ向けるように股関節を屈曲すると緩んでくれます。
この形は恥骨筋が短縮している形なのです。そしてくしくも、梨状筋のストレッチの体勢でもあるのです。
筋肉は短縮すると、繊維がたわみ、ゆるくなります。
その状態で待ってあげると、脳は「筋肉が緩んでいる」ことを認識するようになるので、今までの防御反応がおさまり、筋の緊張が消失するのです。
恥骨筋が緩めば梨状筋にかかる負担も減り、痛みも改善します。
ここでは恥骨筋と梨状筋を例に挙げましたが、臀部に痛みがある人は股関節前方に圧痛がある方が多いです。
これらの圧痛点に手技を施せば、臀部痛が改善する可能性があります。
その上でストレッチを行えば、より良い効果が得られるはずです。
◎まとめ
臀部のストレッチは痛い部分を伸ばすには有効です。しかし、その反対側にある痛みの原因を意識しないと、元の黙阿弥となってしまいます。
もしあなたがおしりのストレッチをするのなら、反対側の股関節前面を緩めることも大事になります。
しかし、それには熟練した感覚が必要です。
よく訓練されたオステオパスの施術を受け、その上でストレッチを行う方が治癒への近道かもしれません。