症例 硬膜外ブロック後の腰痛と下肢のしびれ(交感神経の異常亢進の例)・・・船橋市のオステオパシー整体

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下肢のしびれは神経の影響によるものですが、それが予想だにしないところからやってくる事もあります。

その一例として、硬膜外ブロック注射後に痛みが発生した例についてお話をします。

痛みを除去する目的で行われた硬膜外ブロックでなぜ痛みが発生し、それにどう対応をしたか、お話をしていきます。

<目次>
・腰痛と下肢しびれ、痛み (女性 50代)
・硬膜外ブロック注射とは?
・なぜ、痛みが憎悪したのか?
・「気持ちいい」治療が功を奏す

腰痛と下肢しびれ、痛み(女性 50代)

その患者様は元から腰痛に悩まされていたのですが、肝臓に難治性の症状があることもあって、痛みに敏感な方でもありました。

しかし、運動と食事療法を行う内に、身体も嘘のように元気になり、しばらく来院していませんでした。

そんなある日、硬膜外ブロック注射後に腰の痛みが憎悪し、下肢のしびれと痛みと脱力で来院されました。来院時は顔面蒼白で脚に力も入らないので、やっとの事で来られた感じでした。

硬膜外ブロック注射とは?

ブロック注射とは痛みの元となる神経やその周辺部位に局部麻酔薬を注射し、痛みを抑える方法です。また、これにより筋肉の緊張も緩むので、血流も良くなるという2次的効果もあります。

通常、仙骨裂孔という仙骨にある穴より注射をし、硬膜の外に麻酔薬を注入します。

麻酔により、単に痛み止めというだけでなく、痛みの記憶を脳から忘れさせてあげるという役割もあります。

効果は個々人違いますが、本来良い治療法です。しかし、先生の経験と技術が効果に大きく影響する事はいうまでもありません。

なぜ、痛みが憎悪したのか?

この患者様はしばらく調子が良かったのですが、腰に痛みが出てきて良くならなかったので、かかりつけの病院に話したところ、ブロック注射を勧められたようです。

一応、注射後に症状はすぐ悪化したようなのですが、その事を話しても、「このような副作用が出る事もあるから、あと2、3回やってみないと分からない」と言われたようです。

ただ、私の知る限り、通常このような副作用は無く、しいて言えば神経を傷つけてしまっている場合です。しかし、硬膜外とは神経を覆う膜の外・・・つまり神経に直接注射をするわけではないので、本来神経を傷つけることはないのです。

ただ、もし、神経を傷つけているならば施術で良くなる可能性は薄いです。

しかし、この患者様特有の過敏な体質が、注射の刺激により自律神経のバランスを乱したことに起因する症状ならば、まだ可能性があります

そこで、一通り軽い調整を行った後、座位で胸椎より上部腰椎まで緩めていく作業に入りました。

「気持ちいい」治療が功を奏す

なぜ、胸椎から上部腰椎までに手を施すかというと、胸椎の1番~腰椎の2番高位の脊髄からは交感神経が出ています。

交感神経はあまり知られていないですが、身体に筋緊張やしびれを発生させることがあります。

しびれがあっても神経外科テストが陰性なら要注意です。

この治療中、患者様は「気持ちいい」とずっと言ってました。

気持ちいいのも、患者様にその治療があっているかいないかの良い目安となります。

また、交感神経の興奮がトーンダウンし血管の収縮も無くなったので、血流も良くなり、患者様の血色も良くなってきました。

そして、一通り手を施した後、立って頂くと、痛みとしびれも嘘のように軽減していました。

来院時は前かがみで、歩くのも大変そうでしたが、帰りはスタスタと歩いて帰りました。

後日談ですが、この患者様は、断り切れずもう一回ブロック注射を受けて、再度同じ症状で来院されました・・・。

しかし、治療後はまた回復し、次のブロック注射は受けなかったようです。


この患者様の場合、刺激に過敏なため、交感神経が異常に緊張したために発生した症状だと思われます。

ブロック注射を担当した先生の技術の問題ではないと思いますが、ただ、患者様が「気持ちいい」と思わない治療は行わないことが、患者様の安全のために必要だと改めて感じました。