船橋市のオステオパシー整体、かげん鍼灸院・整体院の坪井です。
変形性膝関節症の痛みは高齢の方を悩ませる症状の一つです。
高齢化に伴いその数は増加の一途ですが、脚の疾患は高齢の方にとって生活の質を落としうる大きな問題となりうるので、出来る限り自分の力で日常生活を営むためにも見過ごせない症状です。
しかし、この症状について痛みを改善しようとして、頑張って整形外科や接骨院に通っている方の中には、痛みが改善しない、またはすぐに戻ってしまって悩まれている人が多いのも事実です。
では、変形性膝関節症の痛みに対してどのように対応すればよいのでしょうか?
このページでは変形性膝関節症の痛みのメカニズムを交えながら、説明していきます。
(参考動画①はこちら→「変形性膝関節症の痛みはオステオパシーで良くなるのか?」)
変形性膝関節症の痛みはよくなるのか?
よくある誤解なのですが、変形性膝関節症の痛みは関節が変形して起こっているのだから治らないと思っている人が多いです。
しかし、以前私が働いていた接骨院で、問診をとると、既往症として変形性膝関節症を抱えている方は多かったですが、その中で実際に膝の痛みで来院されて方は、半分くらいです。
つまり、変形性膝関節症でも膝に痛みが発症しない人もいるのです。
これは関節変形が直接痛みの原因になっていないことを表します。
だから、膝が変形しいても十分に膝の痛みが改善する可能性はあるのです。
関節が変形しても痛みは発生しない?
関節が変形しても痛みに直接関係ないということはどういうことなのでしょうか?
それにはまず、関節の構造を知らなければなりません。
関節とは2つの骨と、それを包む袋である関節包で構成されています。
さらに、膝関節では関節の中に靭帯も備わっています。
ここで、関節が変形するとはどういうことか説明します。
関節を構成する骨の表面には関節軟骨という表面が滑らかな組織で覆われています。
この組織がすり減るのが関節の変形です。
すり減るというといかにも痛そうですが、実はそうでもないのです。
なぜなら、軟骨には血管や神経がないからです。
人の痛みは神経が刺激されたり、血流が阻害されることにより発生します。
つまり、神経、血管のない軟骨が減っても本来痛みはでないはずなのです。
だから、変形性膝関節症で痛みが出る人は関節の中以外にもその原因を探していかなければならないのです。
膝の痛みはどこから起こっているのか?
では、膝の痛み自体はどこから起こっているのでしょうか?
それは、関節の外の神経や血管が刺激されることにより起こっています。
関節の外は筋肉があり、筋肉は筋膜と呼ばれる薄い膜で覆われていますが、神経と血管はこの筋肉と筋膜の間を走行しています。
だから、膝周辺の筋肉、筋膜が固くなったり、テンションが強くなると、神経や血管が圧迫されて痛みがでやすくなるのです。
では、膝周辺の筋肉、筋膜にアプローチすればいいのかと思うかもしれませんが、問題はそれほど単純ではありません。
実際に、変形性膝関節症の痛みで膝周辺の筋肉や筋膜を緩めてもらっているのに治らないと言う人も多いと思います。
それは、膝の筋・筋膜を固くしている原因がもっと別のところに有ることを示唆しているに他ありません。
そして、膝の周辺に影響を与える原因がどこか特定する鍵となるのが、姿勢の問題になります。
変形性膝関節症の痛みと姿勢の関係。
変形性膝関節症は只の使いすぎでなるのでしょうか?
そうではありません。その人が変形性膝関節症になりやすい姿勢で過ごしているので、なってしまうのです。
つまり、その人が過ごしてきた姿勢そのものが、痛みの原因を作り出してしまっているのです。
そして、その姿勢とは「がに股」です。
日本人の変形性膝関節症は膝の内側が変形する事が多いですが、それはこのがに股の姿勢が関連しています。
がに股で過ごせば、膝の関節へ外側はスペースが空き、内側は狭くなる状態になります。
この状態で過ごせば、膝の内側に荷重がかかり、膝が変形していくのです。
そして、膝の変形を発端に、このがに股がより増長される形になると、膝周辺をカバーしようと筋肉や筋膜がより頑張る事により固くなってきます。
そして、膝の痛みに発展するのです。
つまり、このがに股の姿勢が改善されれば膝への負担が減り、痛みから解放される可能性も出てくるのです。
姿勢について詳しく殺名した参考動画➁はこちら→「変形性膝関節症の痛みの要因となる姿勢について」)
変形性膝関節症の膝の痛みを作る具体的な原因
このがに股の姿勢自体は、骨盤が後ろに傾く「骨盤後傾」により起こります。
骨盤が後傾するとがに股になりやすくなり、膝の変形、痛みという過程をたどりやすくなります。
では、骨盤後傾を作ってしまう原因はなんでしょう?
それは、股関節や骨盤周辺のインナーマッスルが弱くなることにより骨盤を支えられなくなったからです。
骨盤周辺のインナーマッスルと言えば骨盤を前傾させる大腰筋や、股関節のインナーマッスルである外旋6筋などがあげられます。
さらに、インナーマッスルが弱くなることにより、アウターマッスルがそれを補うために働き出すので、お尻のアウターマッスルである大臀筋や大腿筋膜張筋などの筋肉が過剰に緊張して、膝の痛みに拍車を掛けます。
という事は、膝の痛みを減らしたければ、がに股を作る要因にアプローチし、膝への負担を最大限に減らす事が重要になります。
ただ、がに股を作る要因はここ挙げた場所以外にもたくさんあります。
だから、体全体を見て原因を特定していくことが大事になってきます。
いずれにしても、がに股に関係するインナーマッスルを強化し、緊張してアウターマッスルを弛緩させれば、姿勢が良い方向に向かい、膝の痛みから十分に解放される可能性があるということですが、弱くなった筋はストレッチや揉みほぐしなどの手技で緩めると逆に弱くなることが多いです。
それではがに股がより悪化する可能性もあります。
そこで、オステオパシーの手技を使うことにより、筋を緩めると同時に強化することが可能となります。
筋肉の緊張や弱化は神経の伝達能力の問題です。
だからオステオパシーでは神経のトーンを正常化させる手技を用いることにより、ストレッチや揉みほぐしでは出せない効果を出していきます。
この方法は痛くなく、安全なので、ご高齢の方でも受ける事ができます。
(インナーマッスルについて詳しく説明した参考動画➁はこちら→「変形性膝関節症のウィークポイントについて」)
(アウターマッスルについて詳しく説明した参考動画③はこちら→「変形性膝関節症で見逃しやすいポイントについて」)
まとめ
変形性膝関節症の痛みは関節の変形が原因ではなく、変形を導いた姿勢が痛みに関連していること、そして、その姿勢を改善させることが痛みから解放される近道だというお話をしました。
変形性膝関節症の痛みは股関節周辺のインナーマッスルとアウターマッスルが特に重要です。
そして、その他にも体全体から痛みの原因を探し出す必要があります。
変形性膝関節症の痛みは、姿勢が良い方向へ向けば、痛みも良い方向へ向くはずです。
もし、このページをご覧のあなたが変形性膝関節の痛みでお悩みでしたら、関節変形だからと諦めず、希望を持って頂ければと思います。