オステオパシーでは筋骨格だけでなく、内臓や神経の動きなど、いろいろな要素を見ていきます。
今回お話する硬膜もその一つです。
硬膜の緊張は身体の歪みを生み、頭痛や腰痛、肩の痛み、自律神経疾患やホルモン異常の原因となります。
特に身体の歪みが気になる方、重心が安定しない方、歩くと真っすぐ歩けていない気がする方は硬膜の動きをスムーズにすると有効な場合があります。
今回はこの硬膜と体の諸症状についてお話をしていきます。
◎硬膜とは
オステオパシーでは身体の器官は脳なら脳、胃なら胃と個別に動いているのではなく、一つのユニットとして、お互いが相関し合って機能していると考えています。
つまり、全身はつながっているという事です。
このつながりを作っている大事な構造が「膜」です。
分かりやすいところで言えば、最近話題になっている筋膜もその一つです。筋膜は身体を一つにつなげています。
例えは悪いかもしれませんが、人は筋膜という全身タイツに覆われていると考えると分かりやすいかもしれません。
そして、他にも大事な膜構造の1つとして、「硬膜」があります。
脳や脊髄は三層の膜で覆われています。
この三層の内、最も外側を覆うのが「硬膜」です。
◎硬膜の構造
硬膜は頭蓋骨の中の硬膜と、脊髄を覆う硬膜とに分かれており、
頭蓋骨の硬膜は2層で外層は頭蓋の骨の内側にしっかりと密着しています。
さらに内層は脳を覆っています。
一方、脊髄をおおう硬膜はほとんど骨との付着がありませんが、例外として、頚椎の1番2番、仙骨にのみ付着があります。
つまり頭蓋骨と仙骨は硬膜によってつながっていることになります。
また、硬膜は脳の動きとともに動きます。
脳に動きがあるというのは意外かもしれませんが、オステオパシーでは脳に自動的な動きがあると考えています。
総じて言えば、頭蓋骨と仙骨は連動して動いていることになります。
よって硬膜がスムーズに動くという事は、脳や脊髄もスムーズに動くという事です。
さらに頭蓋骨と仙骨もスムーズに動いてくれます。
◎硬膜が緊張することによる弊害
硬膜がスムーズに動かなくなるという事により、以下のような弊害が生まれます。
・頭蓋骨や仙骨の歪みを生む。また、身体全体のゆがみも生まれる。
・神経系の影響で自律神経のバランスを乱す。
・内分泌系の中枢的存在である脳下垂体に影響が出るので、ホルモンバランスが崩れる。
・脳硬膜内には神経・血管も通り、それらが圧迫されるので頭痛が出やすくなる。
・脳の動きは呼吸運動との関連もあるので、呼吸が浅くなり、細胞のエネルギー代謝も減り、疲れやすくなる。
異常の硬膜の緊張は身体の生命レベルが低下させ、全体的な不調の原因となります。
もちろん、腰痛、肩、膝などの痛みの原因ともなります。
では、この硬膜の緊張はなぜ生まれれるのでしょうか?
次回は硬膜の緊張の原因とそのメカニズムについてお話していきます。