前回は身体の歪みと硬膜の関連についてお話をしました。
硬膜とは脳をおおう膜であると同時に頭蓋骨の内面に密着している膜です
これが仙骨とつながっていて、お互いに連動して動いているというお話をしました。
硬膜の緊張は頭蓋骨や骨盤をゆがめるだけでなく、神経の動きも悪くし、自律神経やホルモンの分泌異常の原因にもなります。
たかが膜などと侮ることなかれです。
では硬膜はどのように組織緊張を起こしてしまうのでしょうか?
・効果硬膜の動きを阻害する構造
・頭蓋骨関節の可動性の異常による影響
・骨盤の異常による影響
◎硬膜の動きを阻害する構造
硬膜の動きを阻害する要素として、「横の構造」が挙げられます。
「横の構造」とはまさに横に張り巡らされている膜構造の事です。
いくつかありますが、主なものとして、
・骨盤隔膜(骨盤の底にある筋や膜組織で構成されます。骨盤の底にある蓋のようなものです。)
・横隔膜(呼吸のための筋肉です、息を吸うときに収縮し、吐くときに弛緩します。胸郭の下方を覆います。)
・頚胸部の筋膜(頚と胸を隔てる筋膜です。胸郭の上方を覆います。)
などが挙げられます。
これらに緊張や捻じれがあると、硬膜の動きが阻害されてしまいます。
そして身体をゆがませる原因ともなりえるのです。
このような状態では痛みだけではなく、身体の耐性や免疫力も落ちるので、疲れやすく、病気にかかりやすくなります。
◎頭蓋骨の関節の可動性の異常による影響
しばしば出生時や事故などの外傷により頭蓋骨に問題があると硬膜の動きに影響を与えることがあります。
頭蓋骨は15種23個の骨でできています。骨は縫合で連結していて、一般解剖学上は頭蓋骨は動かないとされています。
しかし、オステオパシー医学では縫合間は微妙に動いているのを確認しています。
前回お話したのですが、硬膜は頭蓋骨の内側に密着しています。
よって、頭蓋骨の縫合間で固着が生まれると、硬膜の動きにまで影響します。
◎骨盤の異常の影響
事故や外傷の影響や、不良姿勢が固定化することにより、仙骨の動きを頑固なまでに固めてしまう事があります。
もちろん硬膜の動きも悪くなります。
むち打ち症の人は事故の衝撃が仙骨の動きを固定化し、硬膜の緊張が頚部や頭部まで伝わったことにより起こることが多いです。
このように硬膜は、硬膜以外の要素によって緊張を生むことが多いです。
硬膜は身体の軸に近い部分にあります。よって、硬膜のねじれが強いと、歪みを強く感じたり、真っすぐ歩けない感じがしたりするのです。
このような問題を解決するのはオステオパシーを学んだ先生に見ていただくのが一番の近道だと思います。